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薬剤師・国際中医師 大串 一稔

漢方薬シリーズ その176「月経時の頭痛」

 東洋医学では、月経周期に伴って現れる諸症状を「月経前後諸症」と呼んでいます。中でも、頭痛が主の場合を「経行頭痛」といいます。

 「38才のAさん。普段から肩、首、背中が凝り、月経前になると、それが強くなり、頭痛が起こる。月経周期は30日。月経前半に月経痛あり。ストレスがありイライラすることが多い。以前から貧血気味で疲れやすくフラフラすることもある。月経前に足が浮腫む。やや便秘傾向。」とのこと。精血不足がベースにあり、そこにストレスが加わって、肝鬱血虚を引き起こしていると考え、瓊玉膏と逍遙散を服用していただくことにしました。

 1ヶ月後に来局され、「服用後、1週間位で、肩から背中の凝りが楽になりました。そのため、今回は月経前の頭痛も起こらず、月経痛や目眩もありませんでした。」と不思議そうです。現在も服用中ですが、月経前の不調はみられず、お元気そうです。漢方治療の卒業も遠くないことと思います。

 東洋医学の婦人科にあたる中医婦科学では、「月経前後諸症」において、「経行頭痛」以外に、「経行情志異常」「経行発熱」「経行身痛」「経行泄瀉」「経行吐衄」「経行口糜」「経行風疹塊」「経行眩暈」「経行浮腫」…などの病症を挙げています。それらをさらに証候別に分類し、それに応じた漢方処方が控えています。自己判断ではなく、漢方薬を専門に扱っている所に相談して服用することが大切です。漢方薬を上手に使って、月経時をスッキリ、快適に過ごしましょう。

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