蕁麻疹というと、一般に食べ物や薬に対するアレルギー反応として起こると思われることが多いようですが、その他、感染、運動や暑さ、寒さ、日光といった刺激などによっても起こります。また、慢性の蕁麻疹の中には、心身のストレスによるものも少なくありません。
38才のA子さん、「1ヶ月程前から、痒みの強い皮疹が出現し、消長を繰り返す。皮疹は月経前やストレス時などに悪化する。ここ数ヶ月多忙で、ストレスが多く、不安感とイライラが続いている。疲れているのに眠りが浅く、夜中に目が覚める。月経不調で、肩こりがひどく、お腹が張りやすい。いつもより食欲が無く軟便気味。」とのこと。ストレスが原因の肝気鬱結・肝気犯脾と判断し、逍遙散を服用して頂くことにしました。3週間後、「蕁麻疹が出たのは1度だけでした。」と嬉しそうな顔でご報告。その後、しばらく服用して頂き、蕁麻疹はすっかり良くなりました。
漢方では、蕁麻疹を、皮膚の状態や悪化条件、好転条件、随伴症状などから、外部刺激による「風寒証」「風熱証」「中風証」、食物や飲酒などの影響による「脾胃湿熱証」「肝胆湿熱証」「寒湿困脾証」「脾胃虚寒証」、ストレスなどによる「肝気鬱結証」「肝火上炎証」、過労などによる「気血両虚証」「血虚生風証」、血液の流れなどの不調による「血瘀証」「血熱証」「衝任失調証」などに分類し、更に詳細に分析して、処方を決定します。すべての疾患にいえる事ですが、漢方治療においては、西洋医学の病名ではなく、漢方の診断基準を用いて、患者さんの主症状や悪化条件、体質などを分析し、きちんと判別していく事が最も重要です。